動物の地形の英霊(犬)を背負った少年の体験した不思議な物語 小説




解明企画


ポチよ泣かないで

もくじ

英霊ポチの悲願は「ウスとキネ」になって少年を
導き
閃きの宝を生む訓練は天地両界の共通課題

投票       ひらめく
          


この講座はまず真理のカギとなる
二冊の小説を読んで頂くことから始まります。
(少年の幼少体験を描いた
小説@
その伯母の
シマが残した自叙伝小説A)
少年の心と同化しながら
歴史的封印を
解いていく「放浪の旅」へと誘います。

暗闇を彷徨いながら失った言葉の意味
英霊の残した課題先祖の家訓まで
次々起こる課題
少年と共に隠れた
「封印の謎」を解いて頂くという趣旨です。
人生観を変える内容となるか
本物の
「心の宝」を求めている方は学んで下さい。

  
ポチよ泣かないで
T 少年時代

 

 

ポチよ泣かないで 
T少年時代
 ほのぼの童子 / 田口紀生

 「遠路の果てに 前・後編 田口正神 
     
 「 田口家と私 自 叙 伝  山下 シマ 



 

     風の記憶


 昭和二九年
犬の地形の前足にあたる小さな海岸沿いの村に「今井 信(まこと)」という男の子が生まれた。まことは物心がつくようになると長男の紀生(のりお)のあとを追ってヨチヨチと歩くようになった。九歳年上ののりおはそんな弟が可愛くなって(いい遊び相手になるぞ…。)と思い始めていた。 やがてまことが六歳になった時彼の未来を暗闇に引きずっていくきっかけとなるある不思議な事件が起こった。

 その日は足元から底冷えする寒い日曜の朝だった。「のりおー!。」 母チカがよそ行きの着物に着替えて二階に上がって来た。

 階段を上がって左側は姑(祖母ゼン)の部屋で右側は長男ののりおの部屋であった。「のりおー母さん出かけるからね。あと頼んだよ。」 「…うん。」 チカがふと振り返ると末っ子(まこと)ゼンのタンスの前にポツンと座っていた。

 
「あら…?。」 チカまことの様子がおかしいのに気がついてしばらく見つめた。「おかしかねー…。ほらのりおちょっと見なさい。」 「…うーん?。あ…。」のりおが覗き込むように見るといつもはゼンの部屋で元気に遊んでいる筈のまこと歯をガチガチさせ体がブルブルと小刻みに震えていた。「のりおあんたまことが寒がっとるから火をおこして(あんか)入れてあげなさい。」「うん。」 チカのりおに細かく指示して頼むとすぐ出かけていった。


 
まことちょっと待ってろよ。」「…うん。」 のりおは押入れの前に敷布団を敷いた。その上陶器製の(あんか)を静かに置くといそいそと階段を降りていった。裏庭に七輪を出し風呂の炊き口に置いてある炭壷から炭を移して火をつけた。たちまち寒空にモクモクと煙があがった。
「うー寒い。」 のりお力強くパタパタと(うちわ)であおいで炭火をおこした。

 やがてのりおジュウノウに赤い炭火を入れて持ってきた。陶器製の(あんか)の中心に炭火を丁寧に移すと上から掛布団をかけた。「よし出来たぞさあまこと入れ!。」 まこと布団に滑りこむように潜り込むとすぐ安らかな表情になった。 それを見届けたのりおすっかり安心して襖を閉めて隣の自分の部屋で勉強を始めた。 


 しばらくして体がぬくもってきたのかまことは心地よい幸せを感じていた。布団から顔だけ出してぼんやりと天井を見て空想にふけっていた。 誰かに見られているような気配がしてふと左の床の間に視線を向けるとそこには一枚の遺影写真が台の上に立てかけてあった。

 16歳で
満州に出征した叔父(芳喜)の兵隊姿があった。悲しげな目でまことを見つめ何かを強く訴えかけていた。(何だろう・・・?。)その意思を探ろうとしばらく兵士の目を見つめていたが突然胸をかきむしりたくなるような激しい胸騒ぎに襲われた。険しい(イバラ)のような心に支配された時写真の兵士がフワッと動いたような気がした。

 
まことは恐ろしくなり咄嗟に目を背けて布団を被った。 だが写真から抜け出して来た英霊布団に隠れた自分を上から静かに見下ろしている気配があった。布団からはまことの頭の毛が少しはみ出ていた。英霊は静かにその傍に腰を降ろした。まことは髪の毛を触られる気配を感じた瞬間はじけるように布団の奥の方に潜り込み必死に布団の隙間を塞いだ。

 炭火の入った陶器製の(あんか)を強く抱いて丸まり恐怖の思いを必死に忘れようとした。 闇の中にくすぶる赤い炭火を見つめながらただ心臓だけが「ドキンドキン」と早鳴りに脈打っていた。(兄ちゃーん助けて…。)だが何かが喉にふさがりその声はかすれてかき消された。 部屋に漂う恐ろしい霊気に取り囲まれてしまうと逃げ道を失った袋の鼠のように身動き取れなくなった。もはや助けを呼ぶこともできずじっと耐えていたが次第に意識が薄れていった。まことは不思議な息苦しさの中でいつしか心地よい深い眠りの世界に入っていった。

 どの位の時間が過ぎたのだろうか…。まことは日なたで猫と遊んでいる夢を見ていた。その時外出していた何か胸騒ぎを感じて早めに帰って来た。家に着くなり二階から子供のうめき声がするのをかすかに聞いた。まことの声やろか…?。婆ちゃんまことは何ばしよるっちゃろうか…?。」「…うーん?。」 はしゃいでいるのかもがいているのかわからない何か不思議なまこと声だった。

 「…たぶんまた猫と遊びよるっちゃろう…。どれあたいがちょっと見てこよう。」  ゼンがおそるおそる二階に上がって見たが布団が一枚あるだけで辺りはシーンと静まりかえっていた。 (…あら?おらん…。) 孫が隠れていそうな布団を見つけ静かにめくってみると全身肌が桃色に染まって丸くなっているの姿を見つけた。

 
「まことー」何度も声をかけたが全く目を覚まさなかった。肩を軽く揺すった時まことの体は力無く崩れた。グッタリとなっている孫の異常さに気がつきゼンは咄嗟に抱えあげ近所に聞こえるような大きな声で叫び続けた。「まことー!。まことー!。…チカさん!。チカさーん!。」

 下で着替えていた
チカ取り乱したゼンの異常な叫び声に驚いた。(ハッ何か大変なことが起きた…。) 不吉な思いがよぎって着替えもそこそこにすぐ二階に上がっていった。

 
チカがやってくるや否や「ああっチカさん!まことが死んだごとなっとるばい!。」まことを抱えたゼンが叫んだ。「えっ!。」 チカは急いでまことの傍に近づいた。「どげんすんなー!。」 ゼンはオロオロして叫んだ。

 
まこと!。まことー!。」 何度頬を叩いても全く反応がなかった。「婆ちゃん!うちがすぐ病院に連れていきます。」「ああそうな。」 ゼンまことチカの背に背負わせるとチカは大急ぎで階段を降りていった。

 その時
兄ののりおは隣の部屋で勉強していたが襖ごしに聞こえるゼンチカのやりとりを聞いて何か急に怖くなって身動きがとれなくなってしまっていた。

 
チカが下に降りていった後のりお(何事が起きたのか?。)を確かめるために急いで追いかけ降りてきた。だがチカの背中でダラリと死んだようになったまこと姿を見るとみるみる血の気が引き青ざめた顔になった。ゼンのりおの様子からの事故にが関わったことを感じた。


 チカまことを背負って慌ただしく玄関から駆け出した。近くの橋に差し掛かった時突然海の方から冷たい風がピュウゥゥー・・・と強く吹きつけた。まことを包んでいた暖かい靄(もや)を一瞬に吹き散らすかのようにチカの背中を通り抜けていった。

 その冷気で
かすかにまことの意識が戻りの背中に背負われて何処かに向かっていることがぼんやりとわかった。体が冷えてゾクゾクと寒気を感じた途端急に激しい痙攣(けいれん)が起きて全身がガタガタと大きく震えた。(あっ生き返った!この子はきっと助かる…)

 
チカは背中から伝わる命の反応にひと安心した。わずかの時間息を吹き返したかに見えたが橋を通り過ぎるとすぐにまた意識が遠のいていった。首の据わらない赤ん坊のようにグラグラと頭が揺れるたびにうつろな半眼の目に映る家並みの景色は激しくぶれるカメラの映像のように揺れて通り過ぎていった。

 

前回の

体 験 講 座
ここまで

  ポチよ 泣かないで  一部分の紹介 ・・・つづく 
 
 



後編 1

初 級 講 座

ここから


       霞の世界


 近くの病院は
あいにく先生が往診中で留守だった。(こんな時に仕方ない・・・)「よいしょ」まことを背負い直すともう一軒の病院に向かって再び走りだした。この道はいつも通ってる筈なのに今日に限ってまるで雲の上を歩いているように中々進まなかった。

 それでも夢中で走っていると
やっと病院の看板が見えて来た。チカは慌ただしく戸を開けて中に入った。「先生!子供をお願いします。息子が・・・」事故のいきさつを急いで話した。

 診察台に寝かされた
まこと二本三本と続けて注射を打たれたがまるで死体に針を打つかのように全く反応が無かった。(もう駄目かも知れない・・・)チカは諦めかけながらも必死に祈っていた。 やがて五本目の注射が打たれた時まことの体がピクリと動きかすかに目を開けた。

 霞んだ視界に心配そうに覗き込む母がいた。「あ気がついた。良かったー・・・」 意識は戻ったものの頭がぼんやりとして何だか違う世界に入り込んだ感覚だった。「ここ何処?」キョロキョロと見渡した。「ああもう大丈夫ですよ・・・。お母さんどうやら入院する程ではないでしょう」先生もほっとして笑顔で言った。


 そのころゼンジリジリして待っていた。あまりにも二人の帰りが遅いのでてっきり(もう孫は死んでしまったのでは・・・)と早とちりして近所中に大騒ぎして言い廻っていた。やがてチカに背負われてまことが帰って来た時家の玄関には近所の人々が大勢心配して集まって来ていた。「おおまこと・・・よう生きて戻って来たね」ゼンは涙ぐみながら驚いて迎えた。 まことの背中から降ろされるとすぐ離れて元気に歩きだした。「まことちゃんあんた安静にしてしばらく寝とったほうがよかよ」「ううんもう何ともないよ!」近所の人達が心配する言葉をよそに見舞いに来ていた友達とすぐ遊び始めた。(ああ何とか大事に至らずに済んだ…。)チカは安心してホッと胸を撫で下ろした。

 一方祖母のゼン(ひょっとしたらこの子は脳に大変な致命傷を受けたかも知れない…。)何かとてつもない不安な気持ちがよぎっていた。だが全てはその後のまことの様子を静かに見守るしかなかった。(この子は知恵遅れになるかも知れん…。)

 この日の出来事は
やがてみんなからは跡形も無く忘れ去られることになっていく。だがゼンだけはこの中毒事故のことをしっかり記憶に残した。その後まことの思春期にとてつもなく大きな影響を現わしてくるようになるとはこの時ゼン以外誰も予想もしなかった。この事故以来まことの頭は霞に包まれたようなぼんやりとした感覚の中に置かれるようになった。

 それから半年が
過ぎたある日曜の朝まだ幼いまことは姉たち二人にに連れられて山道を登っていた。傾斜の急な坂を長女の信子は先に登りながらヨチヨチと歩くが足手まといに感じた。「はよう登らんねこの死にぞこない!。お前なんかあの時死んでれば良かったとに!。」

 まこと
足手まといの厄介者扱いされると悲しくなって何も言い返せなかった。生きることを否定されることがこの頃から既に始まっていた。


         さまよう猫

 まことガス中毒事故に遭う前の鮮明な記憶があった。幼稚園に入る頃に雨漏りがひどくなった古い家を立て直すことになった。
 家が立つまでの間
二十軒ほど先の父の幼な友達である「松本のおじさん」の家に厄介になることになった。

 
祖母ゼンかつえまことたち三人は飼っていた三毛猫の「ミー」を抱いて仮住まいに連れてきたがその家には既に別の三毛猫が飼われていた。「仲良くしてね。」「ミー」を。その傍に降ろした。 だが先にいた飼い猫は自分の縄張りを侵して急に入ってきた見知らぬよそ者のミケ猫が現われたので警戒した顔になった。

 自分にそっくりな三色の三毛の
ミーの体に鼻を近づけ「クンクン。」と臭うしぐさをしたかと思うとたちまち「フーッ!。」と爪をたてて激しい喧嘩を挑んできた。いきなり襲われて驚いた「ミー」一目散に忠霊塔の丘の方へ走って逃げて去ってしまった。 まことたちは追いかけて「ミーミー!。」あちらこちらを捜しまわった。

 やがて「
ミー」忠霊塔を目印にしながら家が解体されてしまった元の処にどうにか戻って来たが誰もいない何もなくなった空き地をウロウロしながら心細くなって「ニャーオニャーオン。」と鳴いていた。

 
チカ家の跡地をさまよう「ミー」を見つけては何度も仮の家の方に連れ戻そうとしたが仮住まいの家の近くまで来ると襲ってきた猫を思い出したのか激しく暴れてチカの腕を引っかいていなくなってしまうのだった。

 「
ミー」それから二ヶ月の間「安住の家」「主人」も。失った野良猫になった。忠霊塔の下のヤブの中をさまよい歩いた。家と主人が分裂した。二つの家の間を疲れ果てるまで何度も何度もいったりきたりしながら探し求めた。

 主人のいない暗闇の空き地と
意地悪な猫のいる家どちらにいっても寂しく怖い別世界の空間であった。いき場を失い暗闇に怯えながらお腹を空かしては「ニャーオーニャーオン…。」と真夜中に主人を求めて何度もないていた。

 主人が移っていった家は既に別の飼い猫の縄張りであり「喧嘩に負けてしまった「ミー」はもう二度とその家に入ってはならない。」という猫の世界の厳しいおきてがあった。


 まことミー」をさんざん捜しまわったが見つからずあきらめて暮らしていた。お世話になる事になった仮の家の二階でゼンに布団を敷いて貰ってしばらく横になっていたが夜中にミケの泣き声を聞くと「あっミーが泣いてる。」 布団から跳び出して外に出て夜中を捜し廻った。

 
まこと暗闇に目を光らせて泣く「ミー」いりこのご飯を見せて何度も呼んだ。「ミー。 おいでーミーミー!。」小さな主人の声が聞こえてこの場所にいることを知っている筈なのに恐れてちっとも近寄って来なかった。「人に着かんで家に着く猫の習性はほんに哀れかばーい。」 心配していつのまにかまことの後についてきていた祖母のゼンがつぶやいた。

 やがて新築の柱の骨組みが出来て棟上げの餅が屋根の上から四方にまかれた。まこと近所の人たちが集まって餅を拾う姿を不思議そうに見ていた。 家はまだ未完成で畳もまだ敷いてなかったがチカの提案で新築の家で正月のモチをつくためにまことたち家族みんなは大晦日に早めに戻ってきた。

 親戚の
ツトム叔母さんたちも二階でゼンの手伝いが終わり集まって話していたときコトコトと足音を忍ばせて階段を上がってくる生き物の気配があった。まこと気になって上からのぞいてみた。痩せこけた「ミー」が体を引きずるように少しづつ上がってきていた。

 
「あ!。」 ゆっくりと一段ごとに休みながらまことの顔を見上げて確認すると一声かすかに鳴いた。急いで上がろうとするが滑って落ちそうになった。体力がなくなっていて一段の高さがとても辛そうだった。

 
「ばあちゃん!ミーが戻ってきたよ。」 まこと嬉しくてたまらずすぐにゼンに向かって叫んでいた。心の底から喜びが溢れていた。(頑張れ!。ミーもう少しだよ。) まこと励ましながらあがって来るのを待っていた。


 いなくなった「ミー」ガリガリにやせこけて戻ってきた。二ヶ月の間野良猫の苦労を重ねてボロボロにやつれていた。最後の段を自力で上がりきると新築の新しい床の臭いを嗅ぎながら目をキョロキョロさせておそるおそる部屋に入ってきた。

 確かに元いた場所に
再び主人たちの同じ顔ぶれを確認するとやっと安心したように「ゴロゴロ…。」と喉を鳴らしてゼンのひざに頭を擦り寄せて来た。まことが「ミー」を抱えるとすっかり軽くなっていた。毛並みもゴワゴワに荒れて戻らなかった。

 
「あこんなに軽いよ」「おおほんにこげんやせてしもうて…。こりゃー、ご飯はずーっと食べ取らんばい。…かわいそうに…ねー。」 ゼンはすぐに台所にいって、混ぜご飯で栄養のある「おかゆ」を作ってあげた。

 実のところ
ミー二ヶ月の間よその家の誰からにも餌を与えられず飲まず食わずで荒野をさまよい歩きギリギリの状態でようやく主人の戻った安住の家に帰ってきたのだった。人になつかない不器用な「ミー」ゼンたちの帰りがもう少し遅かったら冬の寒空の下で餓死するところであった。

 
「ミー」厳しく苦しい試練の中にあっても(元の主人のいた場所にいつかきっと帰れる…。)という直感を信じて希望を捨てずに暗黒の二ヶ月間孤独に耐えてギリギリまで生き抜いて帰ってきたのだった。

 その後「ミー」元の体を回復していった。子供を何度か産んで母親にもなった。放浪癖の息子の「チョン」やせっぽちの「ミー2世」が残った。
 だが「
ミー」まことが中学生になる時フグの毒に当たって口からよだれを流しながら日に日に毛づやが無くなり弱っていき遂に死んでしまう。

 
まこと家の立て直しのために余りにも気苦労ばかりかけてしまった「ミー」何もしてあげられなかった自分を申し訳なく思った。


         ポ チ

 ある日まことゼンに連れられて親戚の家に出かける事になった。家を出て駅に向かう二人の後を老犬の「ポチ」は何度追い返してもついて来るのだった。「もう帰りなさい!。」 とうとう駅舎までついてきた「ポチ」ゼンがあきれてきつく叱るとポチ」はうなだれトボトボと帰るそぶりを見せた。

 
まことたちが改札口を出るのを遠くで振り返りながら見ていたが何を思ったのか急に戻ってきて一気に改札口を通り抜けようとした。だが駅員に遮られると残念そうに「クーウン。」と泣いて戻った。まことポチが(連れてってー。)必死に頼んでいるように聞こえた。

 やがて汽車が近づいて来た時「ポチ」は改札口をあきらめて駅舎の横から線路を横切ろうと走ってきた。既に汽車は目の前まできていた。「危なーい!。」
誘導していた駅員に大声で怒鳴られポチは驚いて慌てて又引き返した。

 やがて
まこと達の乗った汽車は動き出しすべるように景色が遠退いていった。まことしばらく窓の外を見ていると線路沿いの国道を「トボトボ」と寂しそうに帰る「ポチ」が見えた。「あっポチだ。ポチー!。」

 
汽車のガラス戸から手を振るまことに気がつくと「ポチ」は急に尻尾を振って「ワン!。ワン!。」嬉しそうに吠えて走り出した。汽車は次第に速くなっていったがそれでも「ポチ」息をはずませながら必死についてこようとした。

 だが忠霊塔の丘を登る道に差し掛かった時突然柵が前方に現われた。「キャイーン!。」 「あっ!。」 柵に激しくぶつかった「ポチ」の姿はそのまま見えなくなった。「ポチー!。」 汽車は容赦なく過ぎ去っていった。(あれから「ポチ」は果たして無事に帰ったやろうか…?。) まことは汽車に乗っている間ずーと「ポチ」のことが心配で仕方が無かった。

 親戚の家にいってからも
(「ポチ」は今頃どうしてるやろうか…?。)と頭によぎるのだった。
 やがて何日かして
二人が帰ってくるとポチが裏口から飛び出してきた。尻尾を全身で振ってまことの胸に飛びついてきた。「ワンワン!。」「あポチ。元気だったかーよしよし。」

 それから半年が過ぎたある日
ゼンは裏の土間にむしろを敷いてわらを叩いていた。まこともその傍でおもちゃで遊んでいた。その時見かけないおじさんが何やら棒の先に付いた大きな布袋を抱えてそーっと家に入ってきた。

 
(なんだろう…?。) 不思議そうに見ているまことに目が合うとおじさんは口に指を立て「シー静かに。」小声で合図した。のんびりと毛づくろいをしていた「ポチ」の後ろからソロリと近づいたかと思うと一気に頭から袋をかぶせた。すくいあげてすぐ袋の口を閉じると瞬く間に連れ去っていった。

 
「キャイン!。キャイーン!。」 「ポチ」は突然の闇に包まれ必死でもがいていた。不意の出来事に「まこと」も驚いた。ゼンもその一部始終を見ていながら何の文句も言わずポチを取り返しにいこうともしなかった。「ばあちゃんポチは何で連れていかれるの?。」 ゼンは言葉に詰まってうつむいた。ゼンの悲しい横顔があった。(何か子供には言えない事情があるのだろうか…?。) まことはもうそれ以上何も聞けなかった。

 すぐに玄関から表に飛び出したがポチ」狂暴に吠える野良犬たちが入れられている鉄格子の檻(おり)の中に袋から乱暴に投げ捨てるように入れられた。突如目の前に現れた狂犬病の大型犬にいきなり吠え掛かられると驚いて檻の隅っこに逃げブルブルと怯えていた。

 
まこと心配そうに近寄ろうとしたときポチ」を入れた檻の車はたちまち逃げ去るように煙を「ブルルーン。」と吐き出して走り去った。「ポチー!。」 後を追って来た小さな主人の姿を見つけた「ポチ」は悲しそうな目で「ワオーン。」と吠えた。

 必死に追いかけたが息切れしてとうとう車に追いつけなくなった。立ち止まった「
まこと」は取り残されポチの姿が小さくなるまでいつまでも見送った。 その日を最後に「ポチ」は遂に帰ってくることはなかった。


         黒い影


 ある日
まことは遊びにきていた近所の男の子に怪我をさせてしまった。「あ痛ーい!。」 耳から赤い血がしたたり落ちた。 その子は耳を押さえて泣きながら自分の家に帰っていった。 まこと(たちまちその子の親たちが怒鳴り込んで来る…。)と思い込み咄嗟に浜辺に逃げていった。


 やがて夜が更けても
まこと暗い砂浜を一人で「トボトボ」とさまよい歩いていた。いざ逃げてきたものの何処にもゆく当てが無く家の近くまで戻ってきた。

 電柱の明かりの下で立ち尽くしいつまでも自分の黒い影を見つめてぼんやり時を過ごしていた。叱られるのが怖くていつまでもためらっていたがふと(怒られても仕方がないか…。)急に思いを変えて家に帰っていった。

 裏口からそーっと入ったが
みんな寝静まっていてシーンとしていた。もぐっすりと寝ているのかまことをとがめたり叱ったりする者は誰もいなかった。静かに二階に上がると布団に入っていたゼンがすぐ気付いた。小声で「もう寝なさい。」自分の布団に導き入れてくれた。

 覚悟して帰ってきたのに
誰にも叱られないのが不思議だった。 まことは人を傷付けたことをハッキリ実感していたのに家族の誰もみんな何も言わず叱ってくれないのが逆に気持ち悪かった。だが怪我した子の容態を自分から聞き出す勇気など無かった。(人を傷つけてしまったのにこのまま何も罰を受けない自分の存在がとても許せない。)ような気がした。

 何事も無かったように時が過ぎていった。その後
「まこと」は怪我させた子に忠霊塔で出会ったが彼は何も言わず笑ってただ静かに見つめているだけだった。そして謝れないままにいつのまにか彼の家族は何処かに引っ越してしまった。

 


     

      手ぬぐい


 
まこといつも祖母の後ばかりくっついて過ごしていた。ゼンが映画を見にゆく時もツワツクシを取りにゆく時もいつもゼンのゆくところどこにでもついてゆくのだった。 学校から帰ってくると「まこと」すぐにゼンの姿を探しまわった。家の何処を探してもいない時は小屋の後ろを見た。リヤカーがないことを確認するとすぐ裏の忠霊塔の丘に登っていった。

 そこから見下ろす畑の中にゼンの姿を見つけると「ばあちゃーん!。」と大声で叫んで手を振った。遠くで手ぬぐいを被ったゼンが驚いて振り返ったが茫然と立ち尽くしたまましばらく動きが止まった。

 
ゼンには戦死した息子の芳喜が忠霊塔から抜け出して叫んでいるように見えたのだった。ようやくその姿が「まこと」だと気がつくと(おいでおいで。)とやさしく手で招いた。

 時々
その畑にゼンの姿が見えない時はガッカリしたがその時は一キロ先の遠い方の畑にいっていた。

 線路の横の畔(あぜ)道を歩いて小川沿いの曲がった草道を更に走ってゆくと遥かな丘の畑の中に小さく人影が動いているのが見えた。まことは白い手ぬぐいを被った人影がゼンだ。」と確認すると小さな体で力いっぱい走っていった。

 「ばあちゃーん!。」 ゼンは驚いて振り向いた。「あらっ!。」 しばしクワを持つ手を止めてニッコリ笑った。「あらーまことあんたひとりできたとね。」「うん。」「おーようここまでひとりで来たねー。」 ゼン鼻の頭に噴き出した汗を手ぬぐいで拭きながら腰を降ろしてひと休みした。

 思い出したように
エプロンのポケットから黒い大粒のアメ玉を出して差し出した。「ほら食べなさい。」「うん。」 まことはしばらくアメ玉をほおばりながら再び畑仕事を続けるゼンの傍で二匹の紋白蝶が「ヒラヒラ」と野菜畑の上を楽しそうに舞うのを飽きもせずにぼんやり見て過ごした。

 やがてその蝶々もいなくなると
まだおぼつかない手で重いクワを持ちあげその辺の土手を無闇やたらと掘った。「これ!もうすぐ終わるけんねその近くで遊んでなさい!。」「うん。」

 
まことはクワを放って隣の梅林の方にいった。見上げるとそこには仄かに色づいた梅の実すずなりになっていた。まことは手を伸ばしてまだ青い梅を一個ちぎってかじってみた。「あっ酢っぱー!。」 その瞬間ブルブル!」と体が震え苦しげな不思議な快感を覚えた。

 
まことゼンが畑仕事している間この梅林で野苺を摘んだり蝶々を追ったりして一人で時間をつぶした。暖かい日なたの下でのんびりと過ごしていた幸せなひとときだった。

 二
三日経った。裏庭でゼンが梅の実を洗っていた。まことは近寄って日に干されたザルの中の梅を見て不思議に思った。 「婆ちゃんどうして梅には割れ目があるの?。」「…ん…。」

 「どうして中まで真っ赤に熟れないの?。」 
祖母は質問に何とか答えようとしたがまことの納得するような答えをすぐには思いつかなかった。「…うーん…。さあーどうしてじゃろうかねー…。婆ちゃんにも判らんばい。」 何度も頭をかしげながらやっと答えた。



     
正義の使者

 まことはテレビの「白馬童子」がとても好きだった。二刀流の大小二本の刀が欲しくて小屋から重いナタを引っ張り出してきてはまだおぼつかない手で何日もかけて木刀を削った。時々手元が狂って左手の指をナタの刃先で強く叩いてしまい裏庭に鮮血が飛び散った。

 そんな苦心さんたんの末に
どうにか手作りの二本の木刀が出来上がるとゼンのタンスの引き出しから風呂敷を見つけて覆面にした。(それはいつも饅頭を入れた重箱を包んでいた桃色のぼかしの入った風呂敷であった。) 頭と口を隠してにわかの「白馬童子。」に成りきった。

 床の間に立て掛けてある
叔父の芳喜「英霊の写真の額」に映る自分の姿を見ながら「白馬童子」の偽ものが現れて惑わす役と偽者の悪党を見破ってやっつける本物の正義の味方の「白馬童子」を何回も自作自演で演じていた。


 
まことこの頃から既に遊びながら…やがて「真理の剣」を闘い取る象徴的な準備を歩み出していた。


 
まこと映画俳優のように色白で目が綺麗で外見は健丈者に見えた。だが内面はこの頃から人とは大きく違い始めていた。 人知れず脳に傷害を受けた昔の事故のことなどはすっかり忘れだんだんと学校の授業にもついていけなくなり自分が周りの人に比べて格段に記憶力が弱いことを痛感して次第に悩み始めるようになっていった。

 もの覚えが悪く
何度注意されても宿題を忘れるので担任の「末松先生」「ほんとに情けなくて泣きたくなりますよ。」と家庭訪問の度にゼンに話すのだった。まことは九九もまともに覚えられなかったがただ国語と図画だけ時々天才的な能力を発揮した。

 
「末松先生」仕方なくまことの通信簿に「強く正しく大きく生きて素晴しいものを創造して下さい。」と書いてあげた。まことはその言葉がすごく気に入って何度も繰り返していた。(素晴しいものを創造すること。って一体どういう意味やろうか…?。) いつも思い出して考えていた。


         熱 中

 まこと小学三年の時長女信子から新聞配達のアルバイトを引き継いだ。その日から雨の日も風の日も毎日黙々と配り続けることになった。

 頭を使わないことを何度も繰り返す事は得意だったが
無意味な暗記ものの勉強は嫌いだった。新聞配達のお金で買った模型(プラモデル)を作り始めるともう熱中して止まらなかった。 「まことーご飯よー!。」 次女かつ江がいくら呼んでももはや無駄だった。

 
まこと授業中もいつもうわの空であった。理科の時間になると理科室の海亀の剥製が不気味に見えるのが気になりだすと(何故だろう…?。)いつまでも見上げて考えていた。まことは自分にとって興味のある物以外一つも熱中することが出来なかった。

 二階の
兄(のりお)の部屋には美智子妃殿下の絵が貼ってあった。また姉(信子)の部屋の襖には浩宮さま(赤ちゃん)のポスターが破れ隠しに貼ってあった。まことは学校から帰ってくるといつもぼんやりとそれらを眺めて過ごした。

 まだヨチヨチ歩きの
浩宮さまのカレンダー写真には後ろで優しく見守る美智子様が写っていた。何となくまことは浩宮さまと自分が似ている感じがして(何故だろう…?。)不思議に思いながらいつまでも見つめていた。


 暖かい午後
まことは日だまりのゼンの部屋で習いたての漢字を帳面に書いて練習していた。その時兄ののりおが階段を上がって来た。「お勉強してるな。」 のりお近寄ってまことの書いた字を何気なく見た。

 
「ん!。」 いきなりから帳面を奪い取った。「これ。本当にお前が書いたのか?。」「…うーんそうだよ。」 師範が書いたようなあまりにも達筆な文字だった。「嘘つけ!。」 のりおまだ幼いその文字を書いたことが信じられなかった。

 
まこと友達が「野球しよう。」と誘いにきてもルールが覚えられなくて馬鹿にされるのを恐れて「ごめんちょっと用事があるけん。」言っていつも断わってばかりいた。自分の気に入った事だけをただただ何回も何回も繰り返していた。まことにとっての幼き日の思い出はある特殊な偏った部分だけが鮮明に刻印されていった。



         棚 田

 正喜は足が悪かったが毎日汽車で一時間半かけて通勤し鉄工所の旋盤の立ち仕事をしていた。末っ子のまこと父の「超人的な我慢強さ」「鋭い直感力」の両方を兼ね備えていた。じっと耐え続ける粘り強さもあったが(駄目だ)と判るとあっさりといとも簡単に諦めて新しい次のものに向かう不思議な二面性があった。


 刈り入れの忙しい時期になったある日曜の朝
父は「まこと」「かつ江」を連れて義足を「ギシギシッきしませながら遠い山道を登った。 まことたちは父に負担をかけないようにわざとゆっくり歩いた。お寺の前を過ぎると大きな岩がゴロゴロある急斜面になった。

 義足がすべってなかなか登れない父は
先に上がって待っているまことたちを先にゆかせて少しずつ休みながら後から登っていった。まこと父と一緒にいろんな話をしながら登りたかったのにいつも大きな岩の前にくると「お前たちはよう先に行かんか!。」怖い顔して大声で追っ払われるのが悲しかった。


 鉄工所の仕事から疲れて帰って来た父に
まことが遊んで貰おうと足元に寄って来たが「お前たちゃまーだ起きとるとか。早う寝らんか!。」 いきなり大声で叱りつけるのだった。

 
まこと父とのふれあいを欲しがっていたが正喜は義足に引け目を感じて息子たちに体ごとぶつかっていく「父親のスキンシップ」というものをうまく伝えられなかった。



         奇 跡

 まこと四年生になった。いつも十点ぐらいしか取れないまこと突然百点の国語のテストの答案用紙を貰ってきた。ゼンは知恵遅れのまことが百点を取ったことが一瞬信じられなかった。(何かの間違いではないか…?。)名前を確認したが紛れも無く「今井 まこと」という名前があった。

 ゼン胸の奥からじわー。」と喜びが湧いて来た。「バンザイ!。バンザーイ!。」 両手を上げて喜ぶ祖母の姿を見てまことは嬉しかった。だがこの時のゼンの異常な喜びの真の理由がまだ理解できず不思議な思いで見上げているだけであった。

 その日
ゼン赤飯を炊いて祝った。答案用紙を神棚にあげ仏壇にも赤飯を捧げて念入りに拝んでいた。まこと出来不出来の偏りが激しい孫だった。いつもみんなから取り残される不憫な孫だったが時々発揮する驚異的な能力をゼンは不思議に思い密かに心に留めた。

 しばらくしてゼン百点の答案用紙を自分のタンスの中に大事にしまった。その引き出しの中には何故か「二見が浦」を背にして写った出征前の日本兵たち記念写真が入っていた。戦死した叔父の芳喜おじさんの悲しげな姿もその中にあった。



         妄 想


 ある日
のりおは弟のまことを自転車の荷台に乗せて山の田んぼに向かっていた。曲がりくねった上り坂の山道をしばらく自転車を押しながら登っていった。ようやく平坦な道に差し掛かった。「よし!まこと後に乗れ!」勢い良くペダルをこぎだしてみるみるスピードが上がった。

 
まことは冷んやりとした木陰の道の心地良い風を感じていた。その途端はしゃいでバタつかせたまことの足が突然車輪の中に巻き込まれた。「痛い!。痛い!。止めてー!。」 急にペダルが重くなったので(変だな…?。)と思っていたが大声で叫ぶの声に驚いてのりお慌ててブレーキをかけた。


 靴が脱げ落ち
スポークに激しく何度も足を挟まれたまことの足はみるみる紫色に腫れ上がり鮮血が吹き出してきた。激痛で泣きじゃくるまこと「泣くな男だろー!。」を叱りながら新品のジャンパーのシルクの裏地を何度も引き裂いては足に巻いて手当した。その裏地の絹布の裂ける音が稲妻の音のように山に響いた。

 やがて
まことのりお背負われて登って来た。チカ心配そうにそのいきさつを聞いた。チカ「棚田の一番上の最も見晴らしの良い場所にまことを連れてゆくように。」と促した。

 のりおその場所にむしろを敷いて怪我したを降ろした。「ここに座ってろな。」「…うん。」 しばらくは稲作の仕事に忙しく働くのりおの姿を見降ろしながらまことは一人でぼんやりと過ごした。母の脱穀機のペダルを踏む音が絶え間なく聞こえていた。 

 
まことの傍に元気に跳ねてやってきた土蛙たちを見つけしばらくは飽きもせずにいつまでもうらやましく見ていた。やがてまこと暖かい日差しを浴びながら一人でとりとめのない空想にふけっていた。

 
(・・・大男の登る階段の棚田。草の絨毯。天からのひばりのさえずり。巨大な牛のような山。綿菓子の雲…。) そんな大自然の風景を見ながら何故か不思議な妄想が次々に浮かんでくるのだった。  

 山の時間は瞬く間に過ぎていった。陽が傾き
カラスが鳴きながら帰っていく。  まことの心には何故か空虚なやるせない思いが漂って仕方が無かった。




      夜明け前

 まこと中学生になった。だが学校の授業に全くついていけなくなりどんなに努力しても機敏な動作が出来なくなった。精神も肉体も何一つ自分の思うようにならないもどかしさを感じるのだった。

 ただ新聞配達だけは自分の義務のように黙々と毎日続けていった。 いつも朝五時にはに起こされ眠い目をこすりながら降りていくともうは朝食を食べて出かける用意をしていた。「お早うー。」 まことは眠そうに言いながらそのまますぐ出ていった。


 冬の間は
川と道の境がわからないほど真っ暗であった。暗闇に目をこらしながら一軒一軒の家の戸のすき間に新聞を差し込んで配っていった。納骨堂のそばを通るまことをいつも忠霊塔が見下ろしていた。

 誰かに見られている
霊気を感じた。納骨堂の階段を通り過ぎようとする時いつも背中に何かがすがりついてくるような気配を感じた。まこと怖くなると「ゾクッ」と身震いをしながら一目散に走って通りすぎた。この村の家々には戦死した遺影が玄関から見えた。

 配達にきた
まこと見下ろす遺影に目を合わせないように玄関から新聞を座敷の畳に投げこんだ。背を向けたその瞬間遺影から抜け出してすがりついてくる「霊の気配」を背中に感じると忌まわしいイメージを必死に打ち消して後も見ないで肩で霊をふり切るようにして次に向かっていた。

 まこと新聞を配っている頃父の乗った蒸気機関車が通り過ぎて行った。「シュシュシュシュ・・・。」真っ白な煙りをモクモクと出して走る姿を見たくてその時に一番良く見える場所に行こうと急いで配るのだがいつも間に合わなかった。

 当時
「朝刊太郎」という歌が流行っていて雨の日などまことが傘をさして配達にやってくると朝早くから待ってるおばあさんがいて「今日はしろしかねー。毎日感心やねー。」と言って優しく声をかけてくれるのだった。時々ミカンをくれたりして励ましてくれることがあって嬉しかった。



つづく
          
 
ポチよ泣かないで

   T 少年時代   おわり

chuqf 

つづく  後編は 次の講座 記入例    問合せ

HOME

お知らせ

もくじ

案 内

進級
 


週一回投票下さい m(_ _)m


 市民サイト > 小説 登録

謎の地形  巨大な狛犬の願いを背負う
少年の回想記
 予告小説…
ポチよ泣かないで

投票      ひらめき
        

英霊ポチの悲願は「ウスとキネ」に変身し少年を
訓練して宝を閃く神饌として導く天界協助だった